「今すぐ入院しろとは言わない…だけどいつかは入院してもらう。それが君のためなんだ…」

「…っ!」

治療法がないため
入院するしか方法はないのだ

「…分かりました…でもまだ入院はしたくありません…少し時間をください…いつか絶対ここに来ますから…」

「分かった…待ってるよ」

俺のその言葉に先生は優しく
そう言った

「ありがとうございました…」

そう俺は先生にお礼を言い
とある人物のいる病室へ向かった


「…颯人…」

「っ?!玲央さん?!どーしたんですか!そんな暗い顔して…」

颯人は鋭いな…
それとも俺が分かりやすいのか?

「颯人…ごめんな…」

「え…どーしたんですか、いきなり…玲央さんらしくないですよ?」

腕に刺さっている点滴が痛々しい
俺ももうすぐ…こうなるんだな…

「…再発したんだ…病気が…」

「…え?」

「再発なんて、珍しい事じゃねぇんだよ…今まで元気でここまでやって来れた事が奇跡にすら思えてくる…」

「…玲央さん…」

相変わらず左目に巻かれた包帯が
さらに痛々しく感じる

「お前の笑顔を守るとか言っときながら…その約束は守れそうにない…今の俺には無理だ…」

「無理しないでください…玲央さんは自分の事を一番に考えるべきです。俺の事なんて気にしないで下さい。」

「颯人…」

颯人の優しさが、その言葉が
俺の心に響いた

堪えていた涙はいつの間にかこぼれていて

「泣いていいんですよ、玲央さん。我慢なんてしなくていいんです。泣きたい時は思いっきり泣いて下さい。」

「…っ!颯人…!ありがとう…!」

俺はこの声が枯れてしまうまで
泣き続けた