俺の質問に颯人は戸惑っていた

「…颯人?」

奏多が名前を呼んでも
返事がない

「…治りませんよ…」

「…っ!」

やっと口を開いた颯人の口から出た言葉は
想像していた答えだった

奏多を見ると顔から笑顔が消えていた
そして颯人は続けた

「…俺のがんは治りません。いろんな所に腫瘍が転移していて、手術するにももう…手遅れだそうです」

「そ、そんな…それじゃ…颯人は死んじゃうの…?」

奏多の声は震えていて
今にも泣きそうな顔をしていた

「…奏多さん…ごめんなさい…俺の命は…」

そこまで言って颯人は黙り込んでしまった

「…そうか…颯人教えてくれてありがとな」

「玲央さん…」

颯人は俯いていた顔を上げ
俺を見た

そして俺は…颯人の目を見て呟いた…