「っ?!」

少年は俺たちに気づいたのか
すごく驚いた顔をしている

「ここから見る空はキレイだよな…」

俺は少年に近づき話しかけた
ふと少年の方を見ると

少年の左目には包帯が巻かれていた…
そんな俺の視線に気づいたのか

少年は俺の方を見た

「あ、すみません…驚きましたよね?」

「その左目…どーしたの?」

今までずっと黙っていた奏多が口を開いた

「俺の左目は…失明したんです」

「え?」

失明…
それはもう、この少年の左目は見えないということだ…

「俺、末期のがんなんです。1年前の冬、気づいたら病院のベッドに寝てたんです…」

「末期がん…」

「気づいたら、俺の左目には包帯が巻かれていて…見えなくなっていたんです」

少年は自分の過去を
泣きそうな顔をしながら話し続けた…

がんになった原因は不明
失明した原因も不明

そしてこの少年には…


家族がいないのだと…