「家族に心配かける訳にはいかないから、学校には行ってた。いつかはいじめがなくなるって思ってた…だけど日に日に酷くなるばかりだった…」

「奏多っ…」

「カッターナイフで脅された事もあった…実際、頬切られちゃったけどね…」

「っ?!」

悔しかった…何も言えない自分が…

「僕ね…飛び降りたんだ…学校の屋上から…」

「…っ?!」

俺は目を見開いた
自殺しようとするほど追いつめられていたなんて…

「でも、僕は今ここにいる。飛び降りて分かったんだ…僕が死んだら悲しむ人がいるんだって…」

「…いるよ…ちゃんと…ここにも…」

奏多の笑顔の裏にそんな辛い過去があったなんて…
だからあんな悲しげな目をしてたんだな…

もっと早く気づいてやればよかった…

「奏多…ごめんな…!気づいてやれなくて…無理させて本当にごめんな…!」

俺は泣きながら自分を責めた
悔やんでも悔やみきれない…

「玲央が謝ることじゃないから…気にしないで?」

「でも…!いつも俺の前では笑ってくれてた…辛かったはずなのに…無理してでも笑ってくれてた…なのに俺は…何もしてやれなかった…!!」

こんな自分が憎くて…
ただ悔しかった

「玲央?僕は無理なんてしてないよ?玲央の前で無理して笑った事なんてない。玲央といると自然と笑顔になれるんだ…だからもう…泣かないでよ…」

「奏多っ…!」

奏多は優しい…優しすぎるくらい優しい

奏多の過去は決して消えるものではない
だから俺が…その過去を消し去るくらい

お前を笑顔にするよ

お前が俺にしてくれたみたいに…