「玲央…」

「どーした?奏多」

「僕たち、これからどうなるの?」

「どうなるって、どうにもならねぇよ」

「いつまでもこうして、ここにいられる訳じゃないでしょ?」

「まぁな…お前はもう満足したか?」

「え?満足って?」

「ここに来て、楽しかったか?幸せだったか?」

「うん!すごく楽しかったし、幸せだったよ。玲央とまた…こうして過ごせて…」

「…俺も…すげぇ楽しかった…幸せだった…やっぱ奏多といると落ち着くな」

「それはこっちのセリフだよ…」


2人はもう気づいていたのだろう
2人は本当に死んでしまうと

ここは生と死のはざまである事を

ここに来るものは何か心残りがあるもの
だけである

2人はまた2人で共に過ごすことが心残りで
ここに来てしまったのだろう

でも、そんな生活も
もう終わり


「奏多…俺たちはもうすぐ本当に死ぬ。でも俺…不思議と怖くないんだ…」

「僕も怖くない…だって、玲央がいるから…」

「俺も…奏多がいるから怖くない」

「僕、玲央がいてくれて本当によかったって思うんだ…だから、玲央にはたくさんありがとうって言いたい…」

「俺も…お前がいてくれて本当によかった…俺の方こそお前にたくさんありがとうって言いてぇよ…」

「玲央…今までありがとう…本当にありがとう…!すごく幸せだった…!ありがとう…!」

「俺の方こそ…ありがとな、奏多…俺もすげぇ幸せだった…本当ありがとな…!」

2人は泣きながらお互いの体を
抱きしめた

そして2人は…
塵となって消えたのだった…



2人の存在は
すごく大きな存在だった

彼らの生きていた「証」は
ちゃんとここにある


そう…それが



僕らの証…――――