玲央side


玲央…


俺を呼ぶ声が聞こえて
ふと声がした方を見ると

奏多がトラックに跳ねられていた

「っ?!奏多!!」

俺はとっさに、手を伸ばした
そして、奏多が伸ばしていた手を掴み

ここへ連れてきたのだ

「また…会えたな…」

俺は寝ている奏多に向かって
そっと呟いた


そして、目を覚ました奏多は
相変わらず元気だった

ちゃんと聞こえてたんだぜ?
お前の声は、ちゃんと俺に届いてたよ

お前の泣き顔も、笑った顔も
ちゃんと見えてたよ


「颯人たちも元気そうで何よりだ」

「うんうん!玲央がいなくなってからいろいろあったけど、でも何とか元気にやってるよ!」

そう言った奏多の顔は
満面の笑みを浮かべていた

久しぶりに見たな、奏多の笑顔
やっぱり笑った顔が一番だよ、お前は


「お前、いつもそーやって笑ってろ」

「え?」

俺の言葉に首を傾げる奏多の頭に
手を置いた

そして、髪の毛をぐちゃぐちゃに
してやった

「ちょ、ちゃんと!何すんのさ!」

「ぷっ!あははははっ!変わってねぇな全部!ははははっ!腹いてぇ!」

「悪かったね!変わってなくて!」

そう言うと奏多は拗ねてしまった
俺と目を合わせようとしない

「奏多、こっち向けよ」

「嫌だ」

「何怒ってんだよ、おーい。かーなーたーくーん!」

「うるさいなぁ!もう!」

「お?やっとこっち向いたな」

こっちを振り向いた奏多の顔は
やはり怒っていた

「奏多、お前変わってねぇな本当。でもそれはいい意味でだ。俺はそのままの奏多の方が好きだからな。どーだ!機嫌直ったか?」

「変わらくていいんだね…分かった!じゃあ、このままでいるね!僕!」

「お、おう!機嫌直ったんならよかった」

奏多は満足そうな顔をしている
よし、少しからかってやるか

「そーいやお前、俺の事イケメンって言ったよな?」

「え、えっ?!何いきなり!」

俺の言葉に顔を真っ赤にする奏多
よっぽど恥ずかしかったのだろう

「お前、俺の事イケメンって言ったけど…奏多だって、十分可愛いイケメンだぞ?」

「なっ?!何それ!可愛いって何!可愛いって!」

確かに奏多は可愛い
目は女子みたいにでかくて、まつげも長い
小柄な体型に細い体

「女子みたいだな、お前」

「…何か言った〜?れーおーくーん?」

あ、やべ!心で言ったつもりが
口に出してた!

奏多は、完全に怒ってる

「ご、ごめんって!奏多!」

「僕は女子じゃなぁぁぁぁい!!!」

何度謝っても奏多の怒りがおさまることはなく
しばらく俺は奏多のお説教をうけた

でも、こーしてまた奏多といれるだけで
俺は幸せだけどな


毎日続けばいいな
なんて事を思いながら、奏多のお説教をうけた