奏多side



「…ここ…どこ…」

目を覚ますと、知らない所にいた
周りは、真っ白で何もない

「…そっか…僕死んだんだ…」

あの時僕は、即死だった
でも、どうしてこーやって目を覚まして
喋れているんだろう

「ここ…天国なの?」

「そうだよ、奏多」


聞き覚えのある声が聞こえた
その声の方を振り返ると…

「…玲央…!」

玲央だった
久しぶりに会った玲央は変わってなかった

「玲央…!会いたかった…」

「俺も、会いたかったよ…奏多」

玲央はいつもの玲央だった
僕の知っている…

この優しそうな雰囲気、整った顔
どこか落ち着いている優しい声…

間違いなく玲央だった

「…玲央、僕…死んじゃったんだね…」

「あぁ、だからここに俺が連れてきた」

「え?玲央が?」

連れてきたって…
一体どーやって?

「奏多、死ぬ直前手伸ばしただろ?」

「うん、伸ばしたよ」

「その時、誰かに手掴まれなかったか?」

その時意識が朦朧としていて
よく覚えてないけど

でも、言われてみれば
掴まれたかも…

「あの時、お前の手を掴んだのは俺だ」

「え…?玲央が?」

「あぁ、俺を呼ぶ声が聞こえたんでな」

「えぇ?!聞こえてたの?!」

何かそう思うと恥ずかしくなってきた…

「あぁ、聞こえてたぜ?もちろん、全部な」

「っ!!」

「言っとくが、俺はイケメンじゃねぇぞ」

「えぇ?!それも?!」

かなり恥ずかしい…
ってことは…玲央が勉強出来なさそうってのも
まさか聞こえちゃったりしてた?

「俺は、こー見えて頭良い方なんだぜ?」

やっぱり…聞こえてたか…

「意外だね!玲央バカっぽい!」

「うるせっ!お前よりマシだよ!」

「あはははっ!冗談だよ、冗談!」

こんな風に玲央と会話するの
久しぶりだな…

何か嬉しいな…また前みたいに戻れた気がして
これからは、こんな日々が続くのかな

続けばいいな…
僕は心の中でそっと呟いた