「柊羽さんと颯人の過去…先生から聞きました…辛かったですよね…」

「…辛かったです…颯人と会えなくて…」

「きっと颯人も同じだと思います。颯人も柊羽さんに会いたかったんだと思います」

「そう…ですかね…」

不安げにそう聞いてくる柊羽さんの目は
悲しげに潤んでいた

「きっとそうです。だからこれからは柊羽さんが、颯人のそばにいてあげて下さい。そうすればきっと、颯人は喜びますから」

「俺がですか…?」

「はい。柊羽さんしかいないでしょ?」

今、颯人の家族は柊羽さんしかいない
たった一人の家族なのだ

「俺に…颯人のそばにいる権利はあるんですかね…?」

「ありますよ、きっと。もっと自信を持って下さい。柊羽さんしかいないんです。颯人にとって柊羽さんは、たった一人の…かけがえのない家族なんです…!」

「っ?!たった一人の…かけがえのない…家族…」

「そうです。だからそばにいてあげて下さい」

「…分かりました。颯人の家族として…颯人のそばにいます」

そう言う柊羽さんの目に
もう迷いはなかった

「はい。そうしてあげて下さい」

「何か…助けてもらっちゃって…ありがとうございました」

「全然大丈夫ですよ、少しでも助けになったんなら…僕は嬉しいですから」

心からそう思った
これで、颯人も元気になってくれるかな?
また、颯人の笑顔が見れるかな…

「そーいえば、俺奏多さんより年下なんで、タメ語でいいですよ。あとさん付けなしで!」

「あ、そーいえばそうだったね…じゃあ改めてよろしくね!柊羽!」

「はい!よろしくお願いします!」

最初は、思わぬ来客者に
どうなる事かと思ったけど

こうして、いろいろな事を話せて
打ち解けられてよかった


玲央にも、会わせてあげたかったな…

見てるかな?玲央
今日、颯人の双子のお兄さんの柊羽に会ったよ

玲央の分まで
僕が頑張るからね


もうすぐ玲央の命日
会いに行くよ、玲央――――