ガラッ!

「颯人!」

勢いよくドアを開けて
名前を呼んだが返事がない

周りを見渡すと
窓はあいていて、カーテンが風になびいていた

ベッドの上には誰もいなくて
点滴が乱暴にはずされた後があった

「っ?!颯人!何で…」

点滴はずしたらマズイんじゃ…
早く颯人を見つけないと!

そう思い僕は、病室を飛び出した


「あの、颯人見ませんでしたか?」

「颯人くん?颯人くんなら、病室に…」

「それがいないんです!点滴もはずされてました…」

「えっ?!それ本当なの?!」

看護師はかなり焦っていた
それほど、深刻なのだろう

颯人がいなくなったことは

「颯人に会いに来た人って…誰だったんですか?」

僕は気になっていたことを看護師に聞いた

「…颯人くんのお兄さんよ」

「…え?颯人の…お兄さん…」

お兄さん…いたんだ
でも、何でいきなり会いに来たんだ?

「お兄さんが2人で話がしたいって言うから、病室に連れて行ったんだけど…何でいなくなっちゃったのかしら…」

思わぬ来客者に
頭が混乱したのだろうか

点滴を乱暴にはずすほど
颯人には余裕がなかったのだろうか…

「颯人…どこにいるの…」