「じゃあ、颯人。僕帰るね?」

「はい、気をつけて下さいね」

「うん!じゃあね」

「また明日!」

そう言い僕は颯人の病室をあとにした


少し薄暗くなった道を
1人で歩く

1人になるとやっぱり
玲央の事を考えてしまう

「お墓参り全然行ってないな…」

空を見てるだけで玲央の顔が
思い浮かぶから

お墓参りの事をすっかり忘れていた

「いつか必ず行くからね」

1周忌の時にでも行こうかな
まだ先の事だけど

僕はそんな事を考えていた


「ただいまー」

「おかえり、奏多。今日も病院に行ってたの?」

「うん。お見舞いにね」

「そう…楽しそうで何よりだわ」

そう言いお母さんは微笑んだ
僕もお母さんに向かって微笑んだ

「最近、ちゃんと笑えるようになったわね」

「うん!じゃないと、天国の玲央が悲しむから」

「奏多が笑ってるのを見て、玲央くんも笑ってるわよ、きっと」

「うん!」


約束したもんね?玲央
だから、僕は笑うよ

僕が玲央に出来る事は
それだけだから…