それからしばらく
颯人と一緒に話していた

颯人は、吹っ切れたようで
もう颯人の目には迷いがなかった

「颯人は強いね」

「…そんな事ないですよ、俺は弱いです」

「弱くなんかないよ。颯人は強い」

僕より2つも年下のくせに
颯人はすごく頼りがいがある

颯人の言葉に僕が
どれだけ助けられてきたか

それはきっと玲央も同じ
颯人の存在は、かなり大きいよ

「奏多さんだって強いですよ」

「…そんな事ないよ…僕はすごく弱い」

「いや、奏多さんは強いです。その小さな体で、辛い事や悲しい事も全部背負い込んで…俺たちの事もちゃんと考えてくれて…本当すごいと思います」

颯人はすごく真剣な目で
僕を見ながらはっきりとそう言った

その言葉が僕は嬉しかった
こんな僕でも、出来る事はあるんだと

そう思うと、自然と笑みがこぼれた

「颯人、ありがとね」

「いえいえ!全部俺の本心ですから」

「ふぅ〜ん?じゃあ、小さな体って言葉も本心なんだ〜?へぇ〜」

「そ、それは!あの…えーっと…」

戸惑う颯人を見て
僕はお腹をかかえて笑った

「あはははっ!颯人ってすごい素直だよね、はははっ!」

「ちょ、ちょっと!笑わないで下さいよ!」

「まぁ、小さいのは事実だからね。全然気にしてないよ?うん」

「いや、絶対怒ってますよね?!目が笑ってないですよ?!」

本当、颯人はいじりがいがある
まぁ、颯人は純粋で素直だもんね


「よし!これからは、玲央の代わりに僕が颯人の笑顔を守るから」

「ありがとうございます、奏多さん。俺も守ってみせますよ、奏多さんの笑顔」

今、僕に出来る事は
それくらいしかないから

玲央が出来なかったこと
玲央が守れなかったもの

僕が代わりに叶えてあげるから