「何ですか?」

「新汰の記憶…取り戻せそう?」

「…それは…」

そこまで言うと光輝は
黙り込んでしまった

「やっぱり、難しいそう?」

新汰の過去に何があったかは
僕は知らない

「…今はまだ…難しいです…でも…新汰なら出来るって…僕は信じてますから」

そう言った光輝の目は
真剣だった

「…うん。そーだね!新汰ならきっと出来るよ!僕も信じてるから。光輝がきっと新汰の記憶を取り戻してくれるって」

「はい!信じて待ってて下さい!」

光輝は無邪気に笑った
今度は無理して作った笑顔じゃなく

心の底から笑っていた


「じゃあ、そろそろ戻ろうか!新汰が心配するから」

「あー見えて結構心配症ですからね、あいつ」

「それだけ、光輝の事を大切にしてるって事だよ」

「そうだと…いいんですけどね」

「きっとそうだよ」

新汰は玲央と似てるし
光輝は僕と似てる

だけど、1つだけ違う所がある

新汰と光輝は
これからも2人で生きて行けるということ

僕と玲央は
もう2人でじゃなく、僕1人になっちゃったから

でも、それでもいいんだ
玲央が笑ってくれてれば

僕はそれだけで
幸せだから…