試合が始まった。
きっと僕は今彼より劣っているだろう。
運動はろくにしていない。
ましてや剣道なんて辞めてから一度もしていない。
昔の経験のままにしている。
「「やぁあー!」」
ばんっ!だんっ!
竹刀がぶつかり合う。
「なんで、嘘の噂なんか流した!」
「そんなんどうでもいいだろ!」
ばんっ!
すぱんっ!
「どうせ、あいつがふってプライドに傷でもついたんだろ!」
「うるさい!」
すぱんっ!
渡辺の竹刀が僕の頭を捉え、そして、
「面あり!」
一本とられた。
もう一本とられたら負けだ。
「二本目!」
「「やぁあああ!」」
月夜はちゃんと見ているだろうか。
「ふったのは俺だ!」
「じゃあ、なんであんなことするんだよ!」
ばんっ!
「俺がかわいそうな人になったらまたすぐ彼女できるだろうと思ってさ!」
ぶちっ。
こいつゲス野郎だ。
浮気されたとか嘘の噂を流して、浮気されたかわいそうな自分を作って、同情を誘って新しい彼女を作ろうとしてたのか。
「てめぇええ!」
僕の竹刀が渡辺の面をたたき割る。
「面あり!」
こいつ許さねぇ!
「勝負!」
「てめえ!そんなことのために!
どんだけ、月夜が、悲しんでるか、知ってんのか!」
やばい、体力が…
「知らねえよばーか。
てか、おまえ息上がってんじゃん。」
「はぁ、はぁ…」
「落ちたもんだな!
最強さんよぉ!」
渡辺のラッシュ。
避けるのがやっとだ。
「ハア…。」
ばんっ!ばんっ!ばんっ!
「どうしたどうした!」
「くそ…このままじゃ…負ける…。」
その時、観衆から声が届いた。
「剣~~!
がんばってよぉ~!」
「月夜…。」
「月…ううん、わたし、いろんな噂流されて、いろんな嫌がらせされるの嫌だった!
でも、それが渡辺だってことが一番嫌だった!
フられたけど、ずっと引きずってた!
渡辺が好きだった!
違う!好き!
だから剣!
さっさと倒して忘れさせてよ!」
月夜は微笑みながら、両目から一粒ずつの涙をこぼした。
「倒して。」
「うらぁああぁあぁあ!」
上がらない腕、疲れきってる足。
そんな中放てる技はこれしかなかった。
すぱんっ!
「銅あり!」
「それまで!」
勝った…。
良かった…。
観衆の中から一人の女の子が渡辺のところへ駆け寄って
一発いれた。
しかも股間に。
転げ回る渡辺。
その女の子は
「渡辺!あんた最低だよ!
月夜にあんなことして!」
その他5人くらいの女の子も駆け寄って
「最低!」
「死ね!」
股間に一発いれられたうえにあの罵倒は流石に可哀想だな。
まあ、剣道の防具、股間くらいしか攻撃できる場所ないもんな。
「もう、いいよ。」
月夜がそう言った。
「でも…。」
そして、月夜が
渡辺の股間に一発。
「「「「「えぇーー!?」」」」」
「悪かった…。」
渡辺沈没。
「ほら、反省してるみたいだしさ!
わたしももう大丈夫!」
「月夜…。」
「わたしたちもごめんね…。
月夜のこと避けて。」
「また、友達してくれる?」
月夜の返事は決まっていた。
「うんっ!」
ふぅ…よかった。
なんか、友達と感動的なことになってるけど僕の頑張りはどうなんでしょうね。
まあ、いいや。
ささっと撤退しよう。
そして、武道場をあとにする。
歩いて駅まで行くのもしんどいな…。
「よっ、救世主。」
夏喜だ。
「おう…ぼろくそにやられてたけどな。」
「そんなんじゃ駅まで行けないだろ。
飯でも食ってこうぜ。」
「おう。
おまえのおかげで助かった。
ありがとな。」
「お安いご用さ。」
「しばらく月夜を見守っててやってくれ。」
「おう。」
夏喜は僕の親友だ。
こいつとは一生仲良い気がする。
「あ、でもあの子、高校ではもう彼氏できないと思うよ。」
「なんで?」
「噂は噂だけど、男子の評判悪くなっちゃったからね。
さっき股間蹴ってたし…。」
「そうか…。」
まあ、あいつなら強く生きられるだろうよ。
その夜僕はぐっすりと眠った。
疲れていたせいか帰ったらすぐに寝てしまった。
だから、夜来ていたlineにも気付かないわけで。
朝起きたら大変なことになってるとも知らずにのんきな眠りについていた。
ピチピチ
鳥の鳴き声とカーテンの隙間から差し込む朝日で目が覚める。
「ふああぁぁ…。よく寝た。」
そこに放り投げてある携帯に気づく。
「ああ!充電すんの忘れた!」
そして、とっさに携帯の画面を見ると
東原月夜
『付き合ってください。』
きっと僕は今彼より劣っているだろう。
運動はろくにしていない。
ましてや剣道なんて辞めてから一度もしていない。
昔の経験のままにしている。
「「やぁあー!」」
ばんっ!だんっ!
竹刀がぶつかり合う。
「なんで、嘘の噂なんか流した!」
「そんなんどうでもいいだろ!」
ばんっ!
すぱんっ!
「どうせ、あいつがふってプライドに傷でもついたんだろ!」
「うるさい!」
すぱんっ!
渡辺の竹刀が僕の頭を捉え、そして、
「面あり!」
一本とられた。
もう一本とられたら負けだ。
「二本目!」
「「やぁあああ!」」
月夜はちゃんと見ているだろうか。
「ふったのは俺だ!」
「じゃあ、なんであんなことするんだよ!」
ばんっ!
「俺がかわいそうな人になったらまたすぐ彼女できるだろうと思ってさ!」
ぶちっ。
こいつゲス野郎だ。
浮気されたとか嘘の噂を流して、浮気されたかわいそうな自分を作って、同情を誘って新しい彼女を作ろうとしてたのか。
「てめぇええ!」
僕の竹刀が渡辺の面をたたき割る。
「面あり!」
こいつ許さねぇ!
「勝負!」
「てめえ!そんなことのために!
どんだけ、月夜が、悲しんでるか、知ってんのか!」
やばい、体力が…
「知らねえよばーか。
てか、おまえ息上がってんじゃん。」
「はぁ、はぁ…」
「落ちたもんだな!
最強さんよぉ!」
渡辺のラッシュ。
避けるのがやっとだ。
「ハア…。」
ばんっ!ばんっ!ばんっ!
「どうしたどうした!」
「くそ…このままじゃ…負ける…。」
その時、観衆から声が届いた。
「剣~~!
がんばってよぉ~!」
「月夜…。」
「月…ううん、わたし、いろんな噂流されて、いろんな嫌がらせされるの嫌だった!
でも、それが渡辺だってことが一番嫌だった!
フられたけど、ずっと引きずってた!
渡辺が好きだった!
違う!好き!
だから剣!
さっさと倒して忘れさせてよ!」
月夜は微笑みながら、両目から一粒ずつの涙をこぼした。
「倒して。」
「うらぁああぁあぁあ!」
上がらない腕、疲れきってる足。
そんな中放てる技はこれしかなかった。
すぱんっ!
「銅あり!」
「それまで!」
勝った…。
良かった…。
観衆の中から一人の女の子が渡辺のところへ駆け寄って
一発いれた。
しかも股間に。
転げ回る渡辺。
その女の子は
「渡辺!あんた最低だよ!
月夜にあんなことして!」
その他5人くらいの女の子も駆け寄って
「最低!」
「死ね!」
股間に一発いれられたうえにあの罵倒は流石に可哀想だな。
まあ、剣道の防具、股間くらいしか攻撃できる場所ないもんな。
「もう、いいよ。」
月夜がそう言った。
「でも…。」
そして、月夜が
渡辺の股間に一発。
「「「「「えぇーー!?」」」」」
「悪かった…。」
渡辺沈没。
「ほら、反省してるみたいだしさ!
わたしももう大丈夫!」
「月夜…。」
「わたしたちもごめんね…。
月夜のこと避けて。」
「また、友達してくれる?」
月夜の返事は決まっていた。
「うんっ!」
ふぅ…よかった。
なんか、友達と感動的なことになってるけど僕の頑張りはどうなんでしょうね。
まあ、いいや。
ささっと撤退しよう。
そして、武道場をあとにする。
歩いて駅まで行くのもしんどいな…。
「よっ、救世主。」
夏喜だ。
「おう…ぼろくそにやられてたけどな。」
「そんなんじゃ駅まで行けないだろ。
飯でも食ってこうぜ。」
「おう。
おまえのおかげで助かった。
ありがとな。」
「お安いご用さ。」
「しばらく月夜を見守っててやってくれ。」
「おう。」
夏喜は僕の親友だ。
こいつとは一生仲良い気がする。
「あ、でもあの子、高校ではもう彼氏できないと思うよ。」
「なんで?」
「噂は噂だけど、男子の評判悪くなっちゃったからね。
さっき股間蹴ってたし…。」
「そうか…。」
まあ、あいつなら強く生きられるだろうよ。
その夜僕はぐっすりと眠った。
疲れていたせいか帰ったらすぐに寝てしまった。
だから、夜来ていたlineにも気付かないわけで。
朝起きたら大変なことになってるとも知らずにのんきな眠りについていた。
ピチピチ
鳥の鳴き声とカーテンの隙間から差し込む朝日で目が覚める。
「ふああぁぁ…。よく寝た。」
そこに放り投げてある携帯に気づく。
「ああ!充電すんの忘れた!」
そして、とっさに携帯の画面を見ると
東原月夜
『付き合ってください。』