僕はその一言に案外冷静だった。
少し、なにかくるなとは思っていたからだ。
だから、返信も至って冷静。
『明日、いつものカフェで11時に』
そのあと返信は来なかった。
ちゃんと明日来るだろうか。
まあ、自分からたすけてって言っているんだから来るだろう。
さて、この土日は大変なことになったな。
いつもなら土日は、
なにをしていたかな。
思い出せない。
そのくらいなにもしていなかったんだろう。
家に帰り、厨二病の2人をいつものように受け流した後、ベッドに入る。
その日はあまりよくねむれなかった。
でも、こんな夢をみた。
真っ赤な建物、それは鉄鋼場。
鉄鉱石から鉄を作っている。
中に入ると中も真っ赤で鉄の臭いが充満している。
そんな夢だった。
わけのわからない夢だった。
夢というのは過去の記憶や想像が適当に取り出され繋がれているそうだ。
だから、わけのわからない夢というのが普通なのだ。
目が覚めて、カフェへ向かう。
約束のカフェへ。
そこにはもう月夜がいた。
「よぉ。」
「……。」
完全に落ち込んでいる。
「すいません。
アメリカンコーヒー、ブラックで。」
コーヒーを頼む。
「……。」
「……。」
無言。
僕から聞く気はない。
話すまで待つ。
「……。」
「……。」
そんな沈黙がどれだけ続いただろうか。
すると突然
「剣、たすけて。」
低い暗い、そして今にも消えそうなくらい小さな声。
僕が言える言葉は決まっていた。
「ああ、助けてやる。
どんなに大きい問題でもなんとかしてやるから。
だから、話せ。」
「…うんっ…」
月夜号泣。
ちょっと待って。
なんか僕今すごい恥ずかしいこと言ったよね!
それで号泣したよね!
待て待て待て待て。
さすがに慌てた僕は、ハンカチを渡そうとするが、
まあ、ハンカチ携帯してるほど王子様じゃないんで。
「おしぼりで…。」
「…ふふっ」
「お、笑った。」
もう、大丈夫。
恥ずかしかったけど、僕の言ったことに偽りはないから。
なんとかしよう。
「あのね、別れた彼氏の話なんだ。」
「ほお。」
「別れた彼氏、結構優しくて良い人だったんだけど、別れた途端に変貌したの。
有りもしない悪い噂流して、それでみんな月を避けて、友達もみんな。
最終的にはTwitterとかタイムラインに悪口載せるの。
別れた彼氏もそうで、月に分かるように悪口言うの。
廊下に出ても、教室にいても月の話ばっか。
もう学校中どこにいても月の話題だらけ。
時には蹴られたり、わざとぶつかってきたりもされた。
挙げ句教科書なかったり、写真撮られたり!
最近まで友達だったのに!
もう、学校行くのも辛いんだよ!」
テーブルをドンと叩いてうつぶせに倒れ込む月夜。
「もう、いっそ不登校になろうかな。」
「そうか。」
「え?それだけ?」
「いや、月夜の学校のことは僕には分からん。
けど、それだけで離れていく友達なんてほんとの友達じゃなかったんだな。」
「うん…。」
「否定しろよ。
僕が言いたいのは、月夜にはほんとの友達は絶対いる。
絶対だ。
だから、その友達は必ず戻ってきてくれる。
今は周りに合わせるしかないから。
月夜を否定しないと、自分が標的になるから。」
「そう…なの…?」
「いや、実際知らねえよ。
それは月夜が一番よく知ってることだろ?」
「うん。
でも、どうすれば戻ってきてくれるの?
それが分からないことには…」
「しらん!」
「え!?」
「しらん!」
「え……。」
「僕にできるのはここまでですね。
あとはがんばれ。」
そう言ってカフェを去る。
月夜は驚いたような不安なような表情をしている。
ふふっ。
なにが『僕にできるのはここまでですね』だ。
なにが『あとはがんばれ』だ。
助ける、いやお節介焼く気まんまんじゃねえか。
月夜、おまえの悲しみは僕が解いてやるさ。
そして、僕はある人に電話をかける。
「あ、もしもし。
あのさ、おまえに頼みたいことがある。」
月夜、任せろ。
少し、なにかくるなとは思っていたからだ。
だから、返信も至って冷静。
『明日、いつものカフェで11時に』
そのあと返信は来なかった。
ちゃんと明日来るだろうか。
まあ、自分からたすけてって言っているんだから来るだろう。
さて、この土日は大変なことになったな。
いつもなら土日は、
なにをしていたかな。
思い出せない。
そのくらいなにもしていなかったんだろう。
家に帰り、厨二病の2人をいつものように受け流した後、ベッドに入る。
その日はあまりよくねむれなかった。
でも、こんな夢をみた。
真っ赤な建物、それは鉄鋼場。
鉄鉱石から鉄を作っている。
中に入ると中も真っ赤で鉄の臭いが充満している。
そんな夢だった。
わけのわからない夢だった。
夢というのは過去の記憶や想像が適当に取り出され繋がれているそうだ。
だから、わけのわからない夢というのが普通なのだ。
目が覚めて、カフェへ向かう。
約束のカフェへ。
そこにはもう月夜がいた。
「よぉ。」
「……。」
完全に落ち込んでいる。
「すいません。
アメリカンコーヒー、ブラックで。」
コーヒーを頼む。
「……。」
「……。」
無言。
僕から聞く気はない。
話すまで待つ。
「……。」
「……。」
そんな沈黙がどれだけ続いただろうか。
すると突然
「剣、たすけて。」
低い暗い、そして今にも消えそうなくらい小さな声。
僕が言える言葉は決まっていた。
「ああ、助けてやる。
どんなに大きい問題でもなんとかしてやるから。
だから、話せ。」
「…うんっ…」
月夜号泣。
ちょっと待って。
なんか僕今すごい恥ずかしいこと言ったよね!
それで号泣したよね!
待て待て待て待て。
さすがに慌てた僕は、ハンカチを渡そうとするが、
まあ、ハンカチ携帯してるほど王子様じゃないんで。
「おしぼりで…。」
「…ふふっ」
「お、笑った。」
もう、大丈夫。
恥ずかしかったけど、僕の言ったことに偽りはないから。
なんとかしよう。
「あのね、別れた彼氏の話なんだ。」
「ほお。」
「別れた彼氏、結構優しくて良い人だったんだけど、別れた途端に変貌したの。
有りもしない悪い噂流して、それでみんな月を避けて、友達もみんな。
最終的にはTwitterとかタイムラインに悪口載せるの。
別れた彼氏もそうで、月に分かるように悪口言うの。
廊下に出ても、教室にいても月の話ばっか。
もう学校中どこにいても月の話題だらけ。
時には蹴られたり、わざとぶつかってきたりもされた。
挙げ句教科書なかったり、写真撮られたり!
最近まで友達だったのに!
もう、学校行くのも辛いんだよ!」
テーブルをドンと叩いてうつぶせに倒れ込む月夜。
「もう、いっそ不登校になろうかな。」
「そうか。」
「え?それだけ?」
「いや、月夜の学校のことは僕には分からん。
けど、それだけで離れていく友達なんてほんとの友達じゃなかったんだな。」
「うん…。」
「否定しろよ。
僕が言いたいのは、月夜にはほんとの友達は絶対いる。
絶対だ。
だから、その友達は必ず戻ってきてくれる。
今は周りに合わせるしかないから。
月夜を否定しないと、自分が標的になるから。」
「そう…なの…?」
「いや、実際知らねえよ。
それは月夜が一番よく知ってることだろ?」
「うん。
でも、どうすれば戻ってきてくれるの?
それが分からないことには…」
「しらん!」
「え!?」
「しらん!」
「え……。」
「僕にできるのはここまでですね。
あとはがんばれ。」
そう言ってカフェを去る。
月夜は驚いたような不安なような表情をしている。
ふふっ。
なにが『僕にできるのはここまでですね』だ。
なにが『あとはがんばれ』だ。
助ける、いやお節介焼く気まんまんじゃねえか。
月夜、おまえの悲しみは僕が解いてやるさ。
そして、僕はある人に電話をかける。
「あ、もしもし。
あのさ、おまえに頼みたいことがある。」
月夜、任せろ。