翌日、集合より30分も早く駅に着いた僕。

すると、

もう上北がいた。

「あ、剣~」

あぁ、美女が近づいてくる…

「お、おはよう!上北。」

「おはよう~。」

あぁ、かわいい…

「上北、なんでこんな早くに?」

「次の電車だと着くのが11時5分だからね~。」

これだから田舎は。

電車は1時間に一本程度しかない。

ん?11時5分?

「上北、5分くらい遅れたっていいんだぞ?」

「でも、待たせたら悪いから。」

なんて、いい子なんだ!

葉好木も見習えよ。

「…てことは、上北いつからいるんだ?」

「10時ちょっと過ぎかな。」

ニコッと微笑む上北。

かわいい。

じゃなくて

「1時間も待つつもりで電車早くしたのか!?

ほんと、遅れてもよかったのに。」

「いいの~いいの~。」

「次は待ち合わせは11時5分にしよう。」

「次があるんだ~。

嬉しいな~♪」

「あ、いや、次、もあるよ、ね?」

「ある~!」

はぁあ、かわいい。

我ながら僕キモイな。

※上北は彼氏がいます。

葉好木が来るまで2人っきり。

このボーナスタイムを楽しもう。

「……。」

「……。」

なに話せばいいかわかんない。

趣味はなんですか?

いやいや、趣味なんて聞いてどうするんだ僕は。

「剣、葉好木のこと好き~?」

「へ!?」

今何て言った?

「葉好木のこと好き~?」

「どういう意味で?」

「わたし大好きだよ。」

あー、そういう意味ですか。

「うん、嫌いじゃない。」

「葉好木は剣のこと大好きだよ~。」

「そりゃ、よかった。」

「だから、なにかあったらすぐ気づいてあげてね。」

なんかよくわからんが

「あぁ、分かった。」

葉好木到着。

「きったん!」

「葉好木~」

上北に抱き付く葉好木。

羨ましい!

上北がお姉さんで葉好木が妹って感じだ。

ほんとに仲良しなんだな。

「よし、行こうか。」

目的地に向かって歩き出す僕ら。

目的地に着くまでの間ずっと上北にくっついてる葉好木。

あー、羨ましい。

目的地に着く。

そして、ボウリングを始める。

第一投者 葉好木

ガター

「おまえ、下手くそだな。」

「うっさい!」

「投げ方がかわいい~。」

上北は優しいな。

第二投者 僕

よし、上北にかっこいいとこみせてやるぜ!

だんっ!

ごろごろごろ…

どーん

2ピン余った。

このまま悠々スペア。

よし!

「すご~い。剣。」

「ありがとう。」

「へぇー、ちょっとはできるのね。」

「おまえ、そんなふうに言えないだろ。」

第三投者 上北

「いっくぞぉ~」

僕はてっきりどんなにかわいい投げ方をしてくれるのかと思っていた。

それを期待していたんだ。

だが…

プロだった。

プロさながらの投球フォームでカーブまでかけて、ストライク。

かっこいいとこみせてやるぜ!

じゃねえよ!

絶対無理やん。

こんなん勝てっこないやん。

「わ~、全部倒れた~。」

「……。」

「……。」

無言になる僕と葉好木。

「う、うまいんだね!きったん!」

「へへへ~」

かわいい!

かわいいけど!

最終スコア、葉好木38、僕170、上北276

プロやん。

プロでもなかなかこのスコアはでないぞ。

僕だって、一般人にしてはすごいほうだろ。

「あの…、上北、なんでそんなにうまいの?」

「たまたまだよ~。」

絶対違う!

だってボウリングって300点満点だぞ!

100点満点のテストでたまたま92点とるくらい難しいんだぞ!

このまま、何フレームかやったが上北は260以下にならなかった。

「葉好木、なんか意外な一面だったな。」

「うん、葉好木も知らなかった。」

「楽しかった~。」

「うん、きったん、またこようね。」

「うん!」

まあ、すごい驚いたが上北の楽しそうな笑顔でなんかどうでも良くなった。

そして、駅まで2人を見送り、僕もバスで帰ろうとしたところ…

「お、lineだ。」

lineがきた。

このタイミングでlineというのは、まあ葉好木か上北だろう。

そう思いながら携帯を見ると、葉好木でも、上北でもなかった。

東原月夜

そして、そのlineにはただ一言、こう書かれていたんだ。

この先の僕の人生が変わる、この一言で。

『剣、



たすけて』