「じゃ、葉好木ご飯作るね。」

「おう、わざわざありがとう。」

葉好木はリビングを後にする。

取り残された、葉好木姉妹と僕。

葉好木が出て行くやいなや葉好木姉が

「ねえねえ!剣は葉好木のどこが好きなの!?」

僕、もうこいつ年上だと思わないことにしたわ!

「だから!彼女じゃないって!」

「彼女じゃないにしても好きなの~?嫌いなの~?」

「嫌いじゃない。」

「え~?葉好木はまんざらでもなさそうだけどなあ~?」

「葉好木は僕を好きだって言ってたけどな。」

「え!?」

「まあ、冗談かもしれないし。」

「それは冗談じゃないって!

葉好木、いつも剣の話ばっかしてきてさ!

最近なぜかずっと落ち込んでたんだけど…」

ああ、月夜と付き合っていたせいかな?

「でも、今日来てくれることになってちょっと元気になってさ!

さっきみたいに機嫌いい葉好木見たことないよ!」

ほんとにあいつ僕のこと好きなのかもしれない。

てか、葉好木姉はいつから僕のことを呼び捨てで呼んでいたんだ。

僕も名前で呼ぶことにしよう。

「真菜ちゃんと葉好木は仲良いのか?」

「喧嘩はもう5年以上してないね。

この子と葉好木はよくしてるけど。」

「へえ~。

真菜ちゃんは大学生か?」

なんで、こんなこと聞いてるんだろう。

なんか、知らない人に囲まれてると会話が止まるのが怖くないか?

「いや、仕事してるよ。

今日もこのあと仕事。」

「へえ~、そうかい。

がんばれ。」

「おう、ところで…」

近くにいる妹ちゃんに聞こえないように小声で

「(家に来たってことはしちゃうんだよね?☆)

(あの子初めてだから優しくしてあげてね☆)」

「なっ!

だから、付き合ってないって言ってるじゃんか!

葉好木とそんなこと…

想像もできねえわ!」

いかん、少し想像してしまった。

「だいたい、そういうのはもう少し関係が進んでから…」

「できたよー。」

「ごほっっ!!」

「ん?なに?どうしたの?」

「なんでもないよ~♪」

「そ、そうだ、なん、なんでもない!」

「ふーん。」

そう言って4人分のナポリタンスパゲティを置いていく。

ナポリタンの味は悪くなかった。

そして、真菜ちゃんが仕事に行き、妹ちゃんは友達の家に遊びに行った。

そういえば、

「真菜ちゃん、仕事行くって言ってたけど、ここらへん店なにもないよな?」

20km歩いてきたのだが家は数件しか見あたらなかった。

ましてや、会社や店なんて物はなにもなかった。

「ああ、車で30分くらいで多少は都会になるからさ。

真菜はそこで働いてるんだよ。

ん?真菜ちゃん?」

「へえ、そうなのか。

通勤も大変だな。」

「そうなんだよね~。

ガソリン代もバカにならないって真菜言ってた。

ん?真菜ちゃん?」

「妹ちゃんも友達の家に遊びに行くとか言ってたけど、あんのか?」

「かろうじて2kmくらいのところにね。

ん?真菜ちゃん?」

「へえ~。」

「いい加減

ん?真菜ちゃん?

に反応しろおぉおお!」

「ああ、ごめんごめん。

おまえのお姉さんあまりにフレンドリーでいきなり僕のことも呼び捨てだったから、ついな。」

「まあ、真菜ならいいけどさ。」

あ、やっぱり?

「よし、僕らもそろそろ残り20km歩こうか。」

「そのまえに葉好木の部屋いこ。」

「え?おまえの部屋?」

階段を登り葉好木の部屋に入る。

「へえ~、おまえにしてはきれいにしてるんだな。」

「真菜がね。」

「あ、二人一緒の部屋なのか。」

真菜ちゃんがいなかったら大変なことになっているということか。

「もうちょっと休憩していこ?」

「ああ、わかった。」

僕が腰を降ろすと

葉好木が膝に座ってきた!

「へへへ♪」

「へへへ♪じゃねえよ!

急にどうした!?」

「いや、なんとなくね♪」

そういえばこいつテンション高かったんだ。

でも、やっぱり女の子って小さいんだな。

肩幅も背も腕もみんな男よりは小さい。

きっと、心も。

今女子が病みやすい理由が分かった気がした。

「ねえ剣、楽しい?」

今日は楽しいかって意味だろう。

「ああ、すごく。」

そう言って頭をなでてやる。

だけど、この『楽しい?』の意味が僕の想像していた意味と少し違う。

そのことに気づくのはまださきのことだが。

「へへへ♪」

嬉しそうな葉好木。

なんだか、とても癒される。