こうして、僕は月夜と付き合うことにしたのだが、なんにせよ僕は付き合うことは愚か、告白されることも初めてなわけだから、なにをしたらいいのかさっぱりわからなかった。

まあ、それは月夜に任せれば何とかしてくれるだろう。

そんなことより、葉好木に言ったほうがいいんだろうか?

どんな反応をするのか分からないが若干怖い。

『放課後遊べなくなるじゃん!』

とか言われそう。

まあ、隠し通せるわけないか。

言うしかない。

「なあ葉好木。

僕に彼女できたらどう思う?」

「うーん。

葉好木に彼氏できたらどう思う?」

そうだな。

ちょっと寂しいかな。

あいつもそんな気持ちなのか。

「なるほど。

そんな感じか。」

「どんな気持ちなの?」

「寂しい。」

「そうなんだ。」

「違うのか?」

「まあ、そんな感じかな。」

「そ、そうか。」

ちょっと言い出しにくくなったな。

「あのさ、葉好木。」

「うん?」

「できた。」

「なにが?」

「彼女。」

「へ?」

「彼女ができた。」

「えぇえぇぇーーーーーーー!!!

剣に!?彼女が!?」

「ああ。」

「うぅ~。」

「でも、彼女っぽくないっていうか、僕の中では彼女ではないって言うか。」

「そうなんだ。」

「うん。」

葉好木がしょんぼりしてる。

僕だって葉好木に彼氏ができたら寂しい。

やっぱり言うべきじゃなかったのかな?

でも、別に僕が葉好木好きなわけでも葉好木が僕を好きなわけでもないから、干渉することはできないんだけどな。

「大丈夫だ、葉好木。

葉好木と遊ぶ時間だって作る。

葉好木とはできる限りいつも通りになるようにするからさ。」

「うん…。」

なんかすごい落ち込んでるな。

そんなに僕に彼女ができることが嫌なのか。

「なんで、そんなに落ち込むんだよ。」

「うっさい!」

はいはい。

頭を撫でてやる。

これで少しは機嫌治ればいいんだけどな。

「だから、もしかしたらこれから放課後とかちょっと予定入るかもしれないけど、

さっき言ったとおりできる限りいつも通りにするからさ。」

「うん…。」

お、lineが入ってる。

なになに?

東原月夜

『今日放課後空いてる?』

早速来たか。

『今のところ空いてる。

てか、空けとく。』

なにするんだろうな。

まあ、まずこの女を説得しなければ。

「早速だが葉好木。

今日は予定が入ってしまった。」

「そう。」

おいおい、さっきまで落ち込んでたのに今は素っ気ないな。

「おう。」

まあ、いいや。

そのうちいつも通りに戻るだろう。

そして、放課後。

「プリを撮りに行くわよ!」

「行くわよじゃねえよ。

キャラ変わってんぞ。

てか、プリってなんだ?」

「えぇえぇぇーーーーーーー!!!

知らないの!?」

「プリクラだよ!プリクラ!」

プリ倉?

「どんな倉なんだ?」

「あー、もういいや。

中に入ると急に発光して外に出るとプリっていうものが出てくる倉。」

「そうかそうか。

それはどこにあるんだ?」

「まあ、ついてきてよ。」

「おう。」

歩くこと約10分。

「着いたよ。」

「これか?

僕が想像してたのと大分違う。」

「まあ、いいから入るよ。」

中に入るとすごく光ってまぶしかった。

なんだここ?

あからさまに怪しいぞ。

「ほら~、剣ちゃんと覚えてね。

まずここにお金を入れて…」

「そうか、ここに金を入れるのか。」

そう言って400円投入。

「えー、半分払おうと思ったのに。」

「こういうのは男が払うんだってさ。」

昨日ネットで調べたんだ。

大した金じゃなかったら奢れ

って書いてあったぞ。

「…でー、この中からフレームを選んでー…」

「あー、言われても分かんないからやってくれ。」

あと近い。

あんまり寄るな。

いい匂いするだろうが。

「もー…はい、撮るよ~。」

「なにを…」

パシャ

「あーあー、変なとこ見てる。」

写真撮るのか。

聞いてないぞ。

「はい、もう一まーい。」



月夜とプリを2枚撮った。

「2枚とも払ってくれなくてもよかったのに。」

「あのくらい出すよ。」

あんまり小遣いとか休みにバイトとかしてもらってる金とか使わないからな。

「楽しかったー!久々のデート!」

「え、これデートなの?」

「ほんと、なにも知らないんだねぇ。」

「まあな。」

「でも、わたし、剣昔誰かと付き合ってた気がするんだけど…

気のせいかな。」

「気のせいだろ。

てか、月夜、月じゃなくてわたしって言うようになったんだな。」

「うん!

変わろうと思ってね。」

「そうかそうか。

そりゃいいことだ。」

月夜は強いけど、まだ少し足りないんだ。

僕はそれを見守らなきゃいけない。