おいおい。

こいつの付き合ってくださいは信用ならない上に何か良くないものを運んでくる気がするんだが。

しかも、なんで人生で今まで一度もなかったイベントが同じ人から二回も開催されてんの。

もう、わけわからん。

僕はこう返信した。

『なんの冗談すかね?』

よし、学校に行こう。

それから考えよう。

「息子よ!我のエヴァーラスティング…」

「うるせえ親父!今それどころじゃねえんだよ!」

「す、すいません。」

「じゃ、行ってくるわ。」

そして、家を出た。

歩いているときもバスに乗っているときも授業を受けているときもずっとそのことを考えていた。

そして、放課後lineには月夜からこう来ていた。

『駅まできて』

よし、行くか。

「剣ー、今日はー?」

いつものように葉好木が遠まわしに誘ってくる。

「今日もごめんな。

じゃ、急いでるから。」

「付き合い悪いなぁ。」

教室を後にする。

ゆっくりと駅に向かう予定だったが、自然と足が早く動いてしまう。

月夜の電車がくる10分も前に着いてしまった。

この待ち時間がやけにどきどきする。

10分が100分にも感じられた。

そして、

「剣~!」

月夜が来た。

いつも通り、元気な笑顔で。

「よ。」

「ども~。」

なんだ、この会話。

「…で?」

「はい?」

「昨日のはなんだ?」

「へっ!?…」

急に顔を赤らめるな。

本気かと思うだろ。

「とりあえず座るか。」

「うん。」

誰もいなくなった駅のいすに座る。

「……。」

「……。」

「「あの!」」

「なんだ?」

「剣からどうぞ。」

「いや、月夜から言えよ。」

「いや、剣から。」

「あのなぁ…

呼び出したのおまえだぞ?」

「そうでした…。」

そうですよ。

僕はまたなにかあったんじゃないかと心配なんだ。

まだ嫌がらせが続いてるとか、噂が広がってるとか。

そういうのを心配してるんだ。

「あの、剣。」

「ん?」

「ありがとう。」

「ああ、感謝しろ。

僕だって結構恥ずかしかった上にしんどかったんだ。」

「うん、ありがとう。」

「それだけ?」

「…うん、それだけ。」

昨日のはなんだったんだろうか。

まあ、元気そうだし大丈夫かな。

達者でな…。

なんてね。

「じゃ、またな。」

「うん、ばいばい。」

手を振ってお別れをする。

あいつはもう友達がいるから大丈夫だ。

僕が三歩目を踏み出したぐらいだろうか。

そんな細かいことはどうでもいい。

後ろから小さい、でも鋭く聞こえる声でこう聞こえた。

「…それだけじゃない。」

今度は大きい声で

「ごめん!それだけじゃない!

昨日も言ったけど付き合ってほしいの!

たぶん剣が好き!」

ふぅ…。

細かいことはどうでもいい。とか言ったけど、僕は三歩ほどしか動いてないんだ。

「うるせえよ!

声でけえよ!

距離考えろ!」

「いやぁ~こういう時は叫ぶもんかなぁ~と。」

てへ。

てへ。じゃねえよ。

てか、こいつ今好きとか言ったか?

「ごめん、今なんて?」

「てへ。」

「そこじゃねえよ!

その前だ!」

「いやぁ~こういう時は叫ぶもんかなぁ~と。」

「ごめん、もう一個前だ。」

「たぶん剣が好き。」

どき。

「その前は?」

「付き合ってほしいの。」

どき。どき。

こいつは本気か?

寄りにもよって僕だぞ?

しかも、告白とかされたことないからどう答えたらいいかわからん。

まずこれ告白か?

「告白か?」

「そんな恥ずかしいこと言わせないでよ。」

どうやらそうらしい。

僕はこういうの初めてだからこのときはつい

「ご、ごめん!

ほ、保留で!」

時間を頂いてしまった。

そして、家に帰り必死に考えた。

Q.僕は月夜のことが好きだろうか?

A.嫌いじゃない。

Q.彼女がほしいだろうか?

A.どっちでもいい。

ダメだこりゃ。

考えてもらちがあかん。

そんなとき、夏喜の言葉を思い出した。

『 あ、でもあの子、高校ではもう彼氏できないと思うよ。 』

うーん。

悩みどころだが。

そこで、僕はあることを心に深く決めて、この問題の解決策を作った。

ある二つのことを決めて。