「華那?」

「な、なに...。」

「フッ。どうした。何でそんなに怯えてる。」

私のことを溺愛してくる、義兄。

桜澤 神。

今の若頭だ。
叔父の息子らしくて、私がここに来たときは見向きもしてくれなかったけど、今となっては煩いほど私に溺愛してくる。

だけど、異常なのだ。

昔に何があったのか分からないけど、その異常な溺愛の仕方に私は怖くなっていく。
神は自分がそんなことしてないみたいに、何も変わってないようなそんな態度を取る。神は知らないのだ。

自分が私にどれだけ異常な行為をしてるかを。

だから神は苦手。でも、それだけではない。

神の瞳は時々かわる。

甘くて熱い瞳を見せたかと思うと、目の色を変えて狂気に満ちた目になるときもあるし、冷たい瞳を向けられるときもあるからとても苦手。

昔から人の顔を伺って、自分で表情を作って生きてきたのに、神の前でどんな顔をすれば分からない。

思う。

私はどれだけ神のことが怖いのかを...。