**楓side**




「あの……」


介君が行ってしまった後、あたしは時雨君に話しかける。



時雨「ん?どした?」


「介君の事なんですけど……。

このまま放っておいて、いいんでしょうか?」



あたしが言うと、全員が黙ってしまった。


陸君は、ちらっと誠君を見る。




「……誠君は、いいんですか?

アナタのお兄さんは、介君はずっとああなんでしょう?


皆さん、気付いてるんですよね?



どうしてうやむやにするんですか。」



すべてを曖昧にしてしまったら、介君が前に進むことはない。


それなのに、どうして。





しばらく黙った後、時雨君はこう言った。





時雨「……アイツの過去にも誠の過去にも、修復してくには時間が必要なんだ。


忘れるには、時間が必要なんだよ。


だから、そっとしておいてやってくれ。」




……それって、遠まわしに関わるなってことですか?





冗談じゃ、ない。







「ふざけないでください…!!

このまま、ほっといていい訳ないじゃないですか!!


時間が解決してくれる、なんて…


そんなこと、あるはずないんですよ!!!」




あたしはそう言って、介君の後を追いかけた。