「時雨君、あの…」


時雨「ん?なんだ?」


「どうして震えてるんですか?」


時雨「?…………あれ、俺なんで…」



時雨君、自分の震えに気付かなかったのかな………?


あたしの後ろに回してる手が、小刻みにふるえてること。




それに、なんだ?って言ってあたしと目が合ったとき、やっぱり弱々しく笑ってた。





「時雨君………。」



あたしは時雨君の後ろに手を回し、子供をあやすように背中を軽くトントンと叩いた。



時雨「大丈夫、大丈夫………。

怖いことは、なんにもないから…

怖い、ことは………」







《怖イコトハ、ナンニモナイヨ》


《イヤァ…ッオ兄チャンヤダァッ!!》


《大丈夫、巧ク殺シタラ────…》









愛してあげるよ。









「…………ッァ、あ…」


時雨「楓?」


「あ、ご、ごめんなさい!

着替えたいから、その…」


時雨「あ、あぁ。

わりぃ。」


「いえ…」




わたしの汚れが移ってしまいそうで。


もう二度と、触れないと。


この人を汚してはいけないと。







そう、思った。