ガチャンッ

鉄の扉が開いた。


そこにいたのは…


「お、アキセンセー!
めっずらし~!」

「こんにちは。
妹がどうなっているか気になってね。

…あーあぁ、こんなに血だらけになって…

美しい、美しいよカズサ。」

「お、にぃ…」

「…あぁ、楓か。
うん、いい具合に弱っている。

ごめんね楓。

私も少し飽きてしまったよ。

だって君の彼氏は君がさらわれたことに全然気付かないんだもの。」


気付いてすら、いないなんて。

あたし、どんだけ…


「は、ははっ…あは、あはは…は。」

「ヤクザにしてはよくやったよ。
でもねぇ、彼女のロックを解く言葉は私しか知らないんだ。

君たちも知らなくていい。

だからね?」

パァンッ

「そ、んな…
ほかの、組員は、」

「君で最後だよ。

いままでいい仕事をしてくれてありがとう。
これはほんのちょっとしたお礼だよ。

君を楽にしてあげる。

それじゃあね?」

パァンッ

パァンッ

パァンッ

何度も、何度も銃声が響いて。

そして、静かになったときにはもう、誰の声も聞こえなくなった。

おにぃの声以外は。

「やっと2人きりだね。
兄妹水入らず、だ。」

「た、すけ、て…おにぃ」

「うん、ごめんね。
痛かったよね、苦しかったよね。

今、楽にしてあげるよ。」



抵抗する力が残っていない身体に、注射器が差し込まれる。

中の透明な液体が、全て空になったとき。







あたしは意識を手放した。