「とにかく、本当に平気ですから。

これでも逃げ足には自信があるんです。」

介「逃げ足って…~~~~~ww」


櫻田さんのお兄さんが、クックッと笑った。


陸「そんなモヤシみたいな足でか?」

…海原さん、それはヒドいです。


「なんで、ここまでするんですか!?」

もう、意味が分からない。

なんであたしなんかにこんなに尽くすの!!?

自慢じゃないけどね、あたしは眼鏡が大きいし前髪長くて陰気くさいとか、いつもマフラーしてて自殺志願者と間違われるような、もっさい二つ結びの女の子なんです!!

あと、モヤシみたいな足のね!!
(ちょっと根に持ってる)


「なんで地味なあたしなんかに、こんな関わってくるんですか!?

正直鬱陶しいです!!」


…はっ!!

しまった!!


『鬱陶しい』って…言ってしまった…。


恐る恐る東雲さんの顔を見ると。



案の定、左の眉がピクピクしてました。



うわぁ、怒ってるよこの人。


時雨「鬱陶しい、ねぇ…?

別に、俺らは構わないワケよ。

テメェが傷つこうとテメェの勝手だからな?

でもよぉ…それだと俺のルールに反するんだよ…。

その好意…差し伸べられた手をよぉ…

『鬱陶しい』で突っぱねなくてもいいんじゃねぇのかなぁ…?」


にこにこにこにこ




わぁお、怖い☆



「ごっ、ごめんなさい…

すみません、“鬱陶しい”は撤回します!!

だからそのなにかじわじわくるような紫色のドス黒いオーラをしまってくださいっ!!」


時雨「分かればいい。

…それになぁ、楓。」


不意に名前を呼ばれ、ビクッと肩を跳ねさせるあたし。





時雨「自分のこと、“なんか”なんて言うなよ。

…俺はオマエの声、結構好きなんだけど。」





ボボボッ


そんな効果音が聞こえそうなほど、あたしの顔は一気に燃え上がった。



陸「おー…顔で茶が沸かせそうだな。」

誠「陸、それを言うなら『へそで茶を沸かす』でしょ?」

陸「言葉のアヤだ。

そんなのも分からんのか、まったく。」

誠「なんだって?」

霧矢「二人ともやめろよ。」

介「おーおー、春だねぇ、恋だねぇ!!」

陸「介、今は夏だぞ。」

介「…。」



あぁ、忘れてた。

この人達、バカだった………………


陸•誠「「お前、今失礼なこと思っただろ。」」


誠「…かぶるなよ。」

陸「そっちこそ、俺のセリフになに重ねてんだよ。」

誠「俺はそう思ったから言っただけだ!」

陸「俺だってそうだ。」

時雨「やめろって。

お前らホンット似たもの同士だな。」


陸•誠「「コイツと一緒にするな!!」」


…仲がいいんだか悪いんだか。

それに、(自称)頭がいい人って、心も読めるのかな…。


陸•誠「「俺は“自称”じゃない!!」」



…本当に仲良しなんだから。