───…結局俺たちは、まかれてしまった。

あれから日が暮れるまでアイツを探したが、見つからなかった。

あきらめて倉庫に帰ると、ドアノブになにか巻き付けてある。

陸「オイ時雨、あれ…」

開いてみると、丁寧な字でこう書いてあった。


“貴方達が絶対に『筏井楓』を傷つけないと約束するなら、明日の22時に私の家に来なさい。”


これは…

介「やっぱり、楓チャンは…」

「ああ、二重人格だ。」

二重人格。

精神的なストレスから、もう1人の自分を作り上げてしまうこと。


楓に、一体何があったのか。


知りたい。

でも、聞けない。


楓の傷を、抉ってしまうことになるから。




傷つけたくない。

だから、俺からは聞かない。


楓から話すのを待つ。


「俺は約束する。

楓を傷つけたくない。

だから、行く。」

誠「皆思ってることは同じだよ。」

そうか。


…俺は、いい仲間に恵まれたな。


約束というのは、簡単にしていいものではない。

自分が必ず果たせると思った約束しか、してはいけない。


だからこそ、俺は行く。