───…あたしは、倉庫の目の前まで来た。

鉄のドアが、少し開いている。

そっと中を覗くと…

だれもいない。

どうやら、二階にいるようだ。

時雨「…楓のこと、どうするか。」

ビクッ

自分の名前がでるなんて思ってなかったから、びっくりしてしまった。

…そうか、倉庫だから声が響いてるのか。

介「考えてみれば、謎ばっかりだよね。」

陸「そうだな。」

誠「レディースの時、仲間割れには見えなかった。

それに筏井さんがどうしてあそこに行ったのかも分からない。

あの夜時雨は、確かに筏井さんに気絶させられたの?」

時雨「詳しくは覚えてねぇけど、急に視界が暗くなって…」



…カズサが出てきてたときか。

時雨君、もしかして気付いたのかな。
あたしが二重人格だって。


介「んー…やっぱオレは…」

なに?

介君はなに?!

気になるけど響きで聞き取るにも限度がある。

あたしはそっとドアを開けた。


キィ…

微かに鉄のこすれる音がする。


介「時雨お客さ~ん」

ビクッ

あああああそうだった!

介君耳いいんだった!!

これは、ピンチだ。


皆が二階から降りてくる前にあたしは扉を閉め、ダッシュで帰ろうとした。

が。

時雨「楓…っ?!」