「ああっ…!」
気がつくと、無意識に手を伸ばしていた。
勝手に見開いていた目が捉えたのは、見慣れた部屋。
陸君、介君、誠君、霧矢君。
そして、あたしの伸ばした手を掴んでいる時雨君だった。
「時雨く…」
涙を流していたようで、前髪が少し濡れていた。
「は…はっ、はぁっ…」
飛び起きたせいか、呼吸が乱れる。
あれは夢だった。
だんだんそれが分かってきて、ホッとすると同時に恐ろしくなる。
多分あれは、予知夢。
このまま進めば、必ずあの未来が待っている。
時雨君はここにいていいといってくれたけど、真実を知ってもそう言ってくれるんだろうか。