『アナタは筏井楓よ。

しっかりしなさい。』


カズ、サ……?


『あんな男なんかに、心揺らされてるんじゃないわよ。

あの男の言うことは、なにも聞かなくていいわ。』


なぜ?

カズサは何か知ってるの?


どうしてあたしに教えてくれないの?



『アナタはなにも知らなくていい。

ただそのまま、知らないまま生きて行きなさい。』


どうしてそんなこと言うの?

カズサはすべて知ってるの?

なぜ今日は優しいの?


ねぇ、どうして…?


答えてよ。



ねぇ…カズサ。


時雨「…楓?」

「時雨く……」


なんでだろう。

今、あたしはとても泣きそうになっている。


どうしてこんなに、泣きたくなるんだろう。



なんで時雨君の顔を見るだけで、胸が締め付けられるんだろう。



「時雨、くん……、」

時雨「楓、どうした?」