「やー、一応仲直りはしたんですけど。
スミマセン、愚痴こぼしたかっただけです」

潤ちゃんはそう言ってペコリと頭を下げると、紅茶の入ったカップを両手で持ち上げ、ふーっと息を吹き掛け冷ます。

「柘植さん、話し易いからつい、長々と愚痴ってしまいました。
って言うか、モデル、私で良かったんですか?
彼女さんに怒られません??」

彼女、ねぇ…
随分とそんな存在には巡り会ってないなぁ。

「そのまま居て。
撮りたいから」

言いながらカメラを構え、電源を入れる。

「俺、長い間フリーなんだよね
言ってなかったっけ?」

バシャッとシャッター音が響く中、失言でした、と潤ちゃんが苦笑した。

「潤ちゃんは彼氏と長いんだっけ?」

カップに口付けて、と言う俺の指示に素直に従いながら、潤ちゃんはえーっと、と言葉を続けた。