職場の後輩である潤ちゃんは、俺―柘植尚樹(ツゲナオキ)―の唯一の趣味を共有出来る友人でもある。
部署が違う彼女とは、社内報に載せた俺の写真がキッカケで時々話す様になり、彼女も趣味で写真を撮ると知ってからは、たまに休みが合えば写真教室と称して撮影に出掛ける程仲良くなった。
今回久々にコンクールに写真を出してみようと思った時に、モデルとして撮りたいと思ったのが潤ちゃんだった。

断られるだろう、と思いながら頼んだ所、二つ返事で彼女は承諾してくれた。

「撮る側専門なので、多分変顔ばっかりになりますけど」

それでも良ければ、と、笑いながら。




「―――柘植さーん!おーい!
起きてますー??」


ハッと気付くと、潤ちゃんがひらひらと手を振りながら、ひょいっと覗き込んできた。

「あ、ゴメンゴメン、ちょっと考え事。
…で、潤ちゃん、彼氏と喧嘩したまま?」

慌てて俺は先程の潤ちゃんの話の続きを促した。