「柘植さん、今日どうでしたー?
撮りたい画(え)、撮れました??」

ガトーショコラを口に運び、そのままフォークでテーブルに置かれた俺のカメラを指す。

「家でゆっくり見ないと分かんないけど、ぼちぼちじゃないかな?
思ってた空なんだけど、モデルさんがね」

俺はコーヒーを一口啜り、そう返した。
潤ちゃんは、うーっと低く呻き声をあげ、

「カメラ、苦手なんですよー、言ったじゃないですかー
私、撮られるよりも撮る側が良いんです」

と、頬を膨らませた。
その姿が余りにも幼く思えて、俺は思わず笑ってしまう。

「モデル頼んだのは俺だし、苦手なのも承知の上だからね」

「柘植さんに頼まれたら嫌とは言えませんから。
その代わり、コンクールに入賞したら絶対教えて下さいね!」

潤ちゃんはにこっと笑うと、目の前に広がる庭園に目を向け、ケーキの残りを頬張った。