ーーーあの日。

撮影した写真をチェックしていた俺は、自分の写真に溜め息ばかり吐いていた。

今日1日で100枚近く撮ったのだが…そのどれを見ても、…気恥ずかしくなる。

出来が悪過ぎるとか、そういう事ではなく…勿論ボツ写真も有るのだが。

何と言うか、潤ちゃんに対しての気持ちがあからさまと言うか。

撮り始めの写真は、潤ちゃん自身も緊張していたりして、ぎこちないのだが、時間が経つにつれ、表情が柔らかくなっていく。

そして、それに反比例する様に、撮ってる俺自身の戸惑いが現れ始めた。

何気ない仕草や会話の中で胸が高鳴った瞬間。

可愛い、と思った笑顔。

それらが写真を通して伝わってくる。


写真は、被写体の全てを写すだけじゃなく、撮影者の気持ちまでも写してしまうモノだと思う。

不安定な精神で撮った写真は、やはりどこかぼんやりとした写真に仕上がってしまうし、楽しい気持ちで写した写真は、見るからに楽しそうな空気に包まれた写真になる。


撮ってる最中確かに何度も感じた胸の高鳴りが、モニター越しでも伝わってくる気がして、思わず「参ったな」と1人呟いてしまった。