「でね、彼氏にね、可愛いげがないって言われたんです。
私、彼氏の前だと泣かないし、甘えたりもしないし、柘植さんもご存知の通り気も強いし」

俺の胸の高鳴りを知らない彼女は、身振り手振り交えながら話の続きを喋り出す。
ただ、と少し首を傾げ困った様な顔をして、

「私、そこまで強い女じゃないと思うんですけどね。
彼がそうさせるだけで…こんな風に言うのも可愛げないんでしょうけど」

そう言って、澄んだ青空には似合わない程薄く笑った。