あれ、女の子ってご馳走されて当たり前なんじゃないの?
腕を引っ張られながら、疑問に思う。
今までにモデルを頼んだ女友達は、さも当然の様に、イタリアンだ、居酒屋だと連れて行かされた上、財布を出す素振りなんて見せた事も無かった。
―――甘えて良い人と、そうでない人の線引きをきっちりしてる子なんだ。
成る程ね。
「潤ちゃん、どこ行くの~?
手、痛いんですけどー」
前を歩いていた潤ちゃんがピタリと足を止め、思わずぶつかりそうになった。
「柘植さん」
至近距離で見上げられ、ドキリ、とまた胸の高鳴る音がする。
呼ばれたのに返事しようにも咄嗟に言葉が出て来ない。
狼狽える俺に構わず、潤ちゃんはじっと目を逸らさずに掴んでいた俺の腕を離した。