「いやいや、可愛くないですって」

まだ赤い顔を両手でパタパタと仰ぐ潤ちゃんの表情が、一瞬綻ぶ。

どうかした?と問う俺に、

「ケーキと話に夢中で気付かなかったけど、こんなに薔薇の香りが充満してたんだなって。
よくよく考えたら、柘植さんと薔薇って合わない」

と笑いながら返した彼女は、もう元の顔色に戻っていた。