「私も分からないんだ。」


聖也とは、目も合わさずそう答えた。

嫌われたくなかったから。




「じゃあな。早く治せよ。」

今日は金曜日。
部活で忙しい聖也と一緒に帰れる唯一の日なのに、先に帰ってしまった。


きっと、こんな顔の私と一緒に帰るのが嫌になったんだろう。





私の中からこの瞬間
聖也という存在が消えた。

彼の存在は、自分が考えていた以上に大きかったのだろう。
涙はバカにならない程に、溢れ出した。




この日から、人が怖くなった。
優しく声を掛けてくれる人の存在もウザくなった。



私は人に、笑顔を見せなくなった。