「嘘つきは嫌い?」
君はコクリと頷く。
「どうして?」
君は答えない。
「君が嫌いと僕が言ったから?」
何も言わない君。
そんな君に僕は笑って見せた。
「僕は嘘つきだからね」
「君が笑っていたら僕も笑う」
「君が泣いていたら僕は」
「君に花束を渡すんだ」
前かがみになり
ポケットから出したのは
白いハンカチ。
「でも、生憎今の僕は花束を持ってないんだ」
「嘘つきな僕がそのお詫びに。一つ、芸をお見せしよう」
手のひらの中に入れたハンカチは
まばたきした瞬間に
ーー“一輪の白い花”へと。
「どうぞ、お姫様」
君は驚き、目を輝かせた。
「嘘つきな僕は、嫌いですか?」
END