「ん?」
木の上で無月が寝てたがふと目が覚めた。
下を見るとしいなが木にもたれかかって寝ていた。
下に降りるといい夢を見ているのか、ニコニコして寝てた。
「なあ…ホントに覚えてないのか?あれだけ一緒にいたのに…」
しいなは寝ているので返事はない。そっと頭を撫でた
「ん…むつき…?」
「すまん…起こしたか?」
「あ!無月!大丈夫!心配しないで!」
「そっか。ならいい」
するといきなりしいなは無月に抱きついた。
「どうした?」
「無月からなんか懐かしい匂いがする…」
「そうか?」
「うん。それで昨日のことよろしく。昔なにがあったのか、それからどうして出会ったのか…を教えて」
「分かった。あのときはしいなが5歳ぐらいときだった」

しいな5歳
「やーいやーい。なきむしーよわむしー!」
「うぇーん…やめてよー!」
しいなは近所の2つ上の男の子2人にいじめられていた
蹴ったり砂をかけられたりしていた
「いたい~!えぅー…」
「ざまーみろ!」
と言いながら走り去っていく男の子達。
とぼとぼと大きな桜の木のところに向かった。
いつもいじめられたとき、必ず向かうのは大きな桜の木だ。
「………」
しいなは何も言わずにうずくまって座っていた。
それを毎回見ていた誰かがいた。…無月だ
「また今日もいじめられたのか?」
「お兄ちゃん…だれ…?」
「俺は無月」
「むつき?」
「ああ」
パアアアっと笑顔になっていくしいな。
笑顔で訪ねる
「お兄ちゃんなんさい?」
「俺か?何歳に見える?」
「んー…20さい!」
「ハハハ!そうか。そうだな…教えない」
「えー?なんで?」
「お前が大きくなったら教えてやるよ。んで、お前名前は?」
「わたしは、しいなっていうの!」
「そうか…それで…なんでいじめられてる?」
「……分からないの。どうしていじめられてるのか分からないの。ねぇ…なんで?」
しいなはまた涙がでてきた。
「お、おい…!なぜ、泣く!?泣くなよ…」
あたふたする無月は泣いているしいなの頭を撫でた。
「と、とにかく泣き止め」
「うん…」
「まぁ、いじめられたり気分転換とか寂しくなったらいつでも来い」
「ありがとう!むつき!」
抱きつくしいながかわいく感じた。
「…じゃーな。また明日」
「え?もう行くの?」
不安そうな顔で無月を見る
「大丈夫だ。明日また来たらいい」
「うん!またねー!」
しいなは駈け足で走り去った。

それから次の日もその次の日も毎日無月に会いに行った。
ある日
「じゃぁねー!また明日!」
「ああ、またな」
と別れた。だが無月はなにかを感じ取った
「……なんか胸騒ぎがする」
この気配は魔物か!?しかも結構いる!
しいなはどこだ!?
無月はしいなを探した
「ここにはいない!どこだ!?」
外に出た。しいなは避難するために外に出ていた!
「くっそ…!あのバカ!」

一方しいなは
「こわいよー…助けて…むつき…」
しゃがんでそうつぶやく。
「しいなー!!」
「むつき!来てくれたんだ!」
「バカ!どこいってんだ!外にでるなよ!」
「ご…ごめんなさい…」
震えて謝るしいなを見て無月は怒鳴りすぎたと思った。
「あ…すまん…ところで早くもどるぞ!」
「むつき!うしろ危ない!」
「くっ!」
無月は魔物の攻撃をかわすと走った
だが、いつの間にか魔物に囲まれていた。
「いいか…」
無月はしいなだけを逃がす作戦に出た。
「しいな。俺が戦っている間に逃げるんだ。後ろを振り向かずに走るんだ。行けって言った時に逃げるんだ」
「え…でも、むつきはどうするの?」
「俺は…何とかする。いいからしいなだけでも逃げろ」
「……分かった」
「うしろ下がってろ」
しいなをうしろに下がらせて無月は戦闘態勢になった。
「おーい!そっちに行くなら俺を倒してからだ!」
魔物達の目線が無月に集まった
「しいな!!いけっ!」
しいなは夢中で走った。つまずきながらもは走った。
着いた先には目立たない場所にあった村だった。
それが親切に親しんでくれた村だった。
その村にしいなが状況を説明すると引き取ってくれた。
幼いしいなは村ですくすく成長した。
そして現在となった。

「へー!そんなことがあったんだ!でも、思い出せないなー」
「そうか…。しかし、偶然また出会ったのは奇跡にしか思えない」
「たしかに!あらためて…お久しぶりです」
「久しぶり」
「ねえ、またここで寝ていい?」
「別に構わん。なあ…思ったことがある」
少し考えた後
「……しいなは行く場所がないんだろう?」
「うん…」
「だから、行く場所を探しに旅に出ないか?」
「え!?いいの?」
「もちろんだ。それに俺がいる。別に問題ないだろ?」
「うん!」
「だが、桜がある場所がいい」
「なんで、桜がないといけないの?」
「俺は……桜が好きだからだ」
「そうなんだ!んじゃ、明日から行こうよ!」
「そうだな!明日に備えて早く寝ろよ」
「うん!ねぇ…もし私が危なくなったら助けてくれる?」
「もちろんだろ!俺が守ってやるさ。危ない目に会わないようにする」
「ありがと!」
しいなは笑顔残し明日に備えるために準備をしに帰って行った。