暗くてよく見えない…
うっすらと形だけ見える。
結構背が高いようだ。あとはよく分からない
「まあ、無事のようだな。危なかったな」
「無事だけどあなたはだれ?」
「俺は……」
いいかけたとたんに急に言葉をさえぎった。
「お、おまえは…!いや、見まちがいか?」
どうやら驚いているようだ。
「どうしたの?」
しいなは質問をしたが
「なんでもない。きをつけろよ」
と言いながら去っていった。
「ホントに何だったんだろう…」
次こそお城に入ろうとしたが何だか辺りが騒がしい。
皆急いでどこかへ走っている
通りすがりの人に聞いてみる
「あの…すみません。どうかしたんですか?」
「どうもこうもないよ!魔物が出たんだよ!」
北の方に指差した。
「それは大変!私行ってきます!」
と、しいなは走って行ってしまった。
は?と間抜けな声が出ていたが構わず進んでいった。

その間、人々は
「みんなー!早く倒すんだ!」
だが、その魔物は暴れる一方で手が出せないほどだった。
しかし、遠くから走ってくる音が聞こえる。
ダダダダダ!
「みんな!そこをどいて!」
しいなだった。魔物の前に出て本を広げた。
すると本の1ページずつすべて光出した。
「な、なんだ!?」
人々は驚いている。
「魔物さーん。こっちだよー!」
するとしいなは何かを唱え始めた
「闇ヨ我二チカラヲ与エヨ…呪…」
すると光っていた本から紫色の何かが出てきた。
「でりゃーー!」
すると魔物は耳障りな音で鳴き倒れた。
「これでよし!皆!もう大丈夫だよ!」
「な、なんだ今のは…」
皆はざわついた。当たり前だ。普通の人とかけ離れた能力があるから…
「あのガキ…ば、化け物!?」
ほらね?皆そういうんだ…私を化け物呼ばわりするんだ…絶対こうなると思ってたけどね!
「先に言っておくけど私化け物じゃないから。皆またね。また魔物が出たら教えてね」

城下町に戻るといつもの桜の風景が見えた。
「何回見ても桜は飽きないなー」
奥に神社がありとても大きな桜の木がある。それはどこかでみたことあるような気がした。
「ちょっと行ってみようかな」
しいなは行くことにした。
大きな桜の木の所に行くとやっぱりどこかでみたことあるような気がした。
「んー…ホントにどこかでみたことあるはずなんだけどな~…気のせいか…」
来た道を引き返そうとするとまた何かが飛んでくる気配がした。
鈍い音が聞こえた。地面に手裏剣が突き刺さっていた。
「え…?なに…これ?」
恐る恐る手に取ってみるとどうやら手裏剣に毒が塗り込まれているようだ。
私は命が狙われてるんだ。怖い…助けて。
その気持ちが出てきたとき、大きな桜の木の上から声が聞こえてきた。
「やっぱり見まちがいじゃなかったようだな」
「あ…!」
上を見ると誰かが木の上に座っていた。
するすると降りてきた。
まだ空が明るかったので姿がはっきりと見えた。
白くて腰まである長い髪。見た感じ20~25歳だろう。顔の形がきれいに整って目の色は茶色。薄い桜色の着物を着ている。しいなは内心カッコいいと思ってしまった。
「もしかしてこの間の助けてくれた人!?」
「そうだ」
「この間はありがとう!」
「あれぐらいどうってことない…それにしても懐かしいな」
「え?なにが?」
「覚えてないのか…?そりゃそうか…ずいぶん昔のことだもんな」
「え?え?昔?どういうこと?」
「いや、覚えてないのならいい」
「そういえば、あなたの名前はなに?」
「俺の名前は花色 無月(はないろ むつき)」
しいなはしばらく考えて思い出そうとするが思い出せないようだ。
無月は
「まあ、無理もないな。昔のことだ。忘れて当然だ。しいなだろ?」
急に名前を呼ばれて驚きを隠せない
「え!?なんで私の名前分かるの!?」
「だから何回も言ってるだろう…ずいぶん昔に何度も会ったことがあるって」
「ねー!詳しく教えて!」
「はは…やっぱりしいなは昔と変わらないな。分かったよ。だが、明日にしてくれないか?ちょっと今日は疲れた」
「うん!わかった!明日も来ていい!?」
「もちろんだ」
「あとね!無月ってこれから呼ぶから!」
「…はいはい」
無月はため息をつきながら返事をした。
「それじゃあ、またな」
「うん!またねー!」
それから無月はまた大きな桜の木へと移動した。