しいなという15歳の少女がいた。
しいなは元気で活発な女の子だが、しゃべり方が幼い。紫の着物を身にまとい、黒髪で短い髪をしている。
「みんな!おはよう!」
「おー、しーちゃん今日もげんきだねぇ」
村人から人気者のしいなは皆からしーちゃんと呼ばれている。
「今日もはりきって家のお手伝いをするぞー!」
「そういえばしーちゃん、なんか村長が呼んでたよ?」
「え?ほんとう?今すぐ行かなきゃ!」
しいなは駈け足で村長の家まで行った。
「そんちょーさーん、私でーす。開けてくださぁーい!」
扉をドンドン叩く。すると扉が開いた。
「おぉ、しいなか。よくきたのぅ。その前に扉をドンドンするのをやめなさい。まあ…お入り」
「はーい。失礼しまーす」
「そこの椅子にかけておくれ」
「はい。それで用はなんですか?」
「それがのぅ…非常にいいにくいんじゃが…この村から離れるんだ」
しいなは目を見開いた。
「……え?ど、どういうことですか?」
「いいから早くでるんじゃ!この村は危険じゃ!」
「え?でもいきなり出ろって言われても…困ります!」
「いいから早く!」
「…わかりました」
しいなはとぼとぼ扉に向かった。すると村長は
「すまぬな…」
しいなはわけわからずに泣きながら走り家に向かった。その間にも村人達が心配そうに見ていたが無視した。
「に、荷物はこれでいいんだよね…はー…」
荷物は水筒、おにぎり……だけかなー
「あ!そういえば、本持ってかなきゃ!」
本とは魔術が書いてある本だ。
実はしいなの家は代々魔物退治や、村を守る守り神として受け継がれていた。
今は魔物退治をしている。
「しーちゃん、どうしたの?大丈夫?」
村人は不安な顔をしながら元気のないしいなに話しかけた。
「ごめん……急にだけどこの村から出ていかなきゃいけない…」
「え…?どういうこと?」
「皆に伝えておいて…今までありがとうって…」
「え?なんで?」
「さようなら!」
「ちょ、ちょっとしーちゃん!?」
しいなは村人を押し退け問いかけにも無視して走った。

山まで来た。
「はぁ…はぁ…!ふぅ…ここまで来たらいいよね…」
しいなは辺りを見渡した。
ここはどこだろう…?
これからどうしよう…どこに行こう…
「あ!そうだ!あそこに行こう!ここからはそう遠くないはず。今回はゆっくり行こうかな」
しいながこれから向かう場所とはここから近い小さなお城である。
「?」
しいなはある異変に気づいた。
どうして来たこともない所でお城があるって分かったのか…
それと一歩踏み出す前に気がついた。
もう夕暮れだった。
ここは山の中だ。ここでのんびりしていたら熊や獣の餌食になってしまう…
「やばいよ!もう、私って運が悪すぎだよー!」
全力疾走で山を走った。
だいぶん走っただろう。ふと辺りを見渡してみてみるとうっすらとお城が見えていた。
「あとひと踏ん張り!頑張らなきゃ!」
嬉しさと達成感があふれて来たときよりも、もっと速度を上げて走った。
気づけばもう、着いていた。そして空は真っ暗になっていた。
しいなは門番に頼んでみた
「すみませんあっち側の村から来たんですけど、もうくたくたで…せめてどこかに泊まらせていただけませんか?それがダメだったらそこら辺で寝ますので、入らせてください!」
門番は答えた
「ちょっと待っててな」
「はい」
門番が中に入っていった。そして10分ほどして戻ってきた。
「許可が降りた。どうぞお入りください」
「あ、ありがとうございます!!」
しいなは中に入ろうとしたら
「それと、今回はお城に泊まらせてくれるようだぞ。良かったな」
「ホントですか!?やったー!」
満円の笑みで入っていくしいな。
「わぁー…」
入ったとたんに桜の花びらが降って来て顔を上げると桜の木がたくさんあった。
さっそくお城の中に入ろうとした瞬間!
何かが飛んでくる気配がした。
「え…?」
振り返った瞬間誰かか上から降ってきた!
「……もう大丈夫だ。怪我はないか?」
「だ…れ?」