枯れたはずだったのに、涙が頬を伝う



そして、音もなくその涙は落ちてゆく



【壬生寺 清光(きよみつ)】



最後に綴られた名はなんとも控えめな字で、軽薄な字と思っていた自分が馬鹿馬鹿しく思えた




それからだ。



私と清光様の文のやりとりが始まった





最初は何故か照れ臭く、羞恥を感じていたが、彼だけには本音を言えた




【壬生寺 清光様】


文のお返事大変遅くなり誠に申し訳ございません。


あなたの言葉はとても優しいのですね


乾いてしまったはずの涙や、忘れかけていた物を取り戻せたような気がします


本当の所を言えば、最初は文に嫌悪感を抱いていました


ですが、今ではそんなものはありません



逆にこの文だけが私の支えで御座います。



数々の無礼な言葉、申し訳ございません


私はもう大丈夫です

あなたの文があるのですから。
【武久 慶】