かず子は何時もより少し離れた処に立って呟くように言った。
風神?今そういわなかった?もしかして、今まで流れてたこの夢みたいなのは風神の記憶?
『うん、「舞巫」に選ばれたよ、不思議だよね、ついさっきまでよそ者扱いだったのにあなたに逢ったって言ったらコロッと態度変えるのよ』
直哉が考えている内に、話は進んでいて、かず子は伏せ目がちに、苦笑いを浮かべながらそう言った。
じゃ、あのかず子ってもしかして俺のばあちゃん!?
『うん・・・お陰で居場所ができたよ』
かず子は一層顔を伏せて言った。そして、沈黙が二人の間に流れた。
まさか、あれがばあちゃん?と信じられない様子で、かず子をまじまじと見ていた。
『あなたには・・・もう逢わないよ』
消え入りそうな、か細い声でかず子は告げた。
風が強さを増し、間を通っていく。
『・・・・・・!』
ふとかず子は顔を上げ、唇を開き何度か動かしたが、何も発する事なく結局唇を閉じ顔を伏せた。
『バイバイ』
その一言だけ残して、かず子はいつもの草むらに消えていった。
直哉は不思議な感覚に戸惑っていた。かず子の消えていく背中を見ていると、心臓と頭がぎゅうぎゅう締め付けられる感じが襲いかかってきて、