その時始めて直哉は、自分が汗をかいていない事に気が付いた。
「・・・あれ」
「くくっ、今頃気が付いたのか」
「なんでだ?なんで此処涼しいんだ?」
「ワシを誰と心得る、ワシは風を司る神とぞ」
風神は胸を張って鼻高々に言ってきた。
「あっそ、じゃ寝よ」
そんな事無視して、直哉は祠の前に在る数段しかない階段に座り、目を閉じた。
「なっ!なんと礼儀のなっていない餓鬼じゃ、これ起きんか!祠の前で寝るとはなんと無礼な!」
風神は直哉に駆け寄り、頭を一発叩いた。
「いった!なにすんだよ!」
「それはこっちの台詞じゃ!全く今時の餓鬼は礼儀が成っとらん!」
「じいさんみたいな事言うんだな」
「うるさい!ワシはお主なんぞより、何百倍も生きとるんじゃ!」
「いいじゃん寝たって、俺今朝五時起きよ、家じゃ暑いし、それに落ち着いて寝れないんだよね」
頭を掻きながら、直哉は立ち上がり、欠伸をした。
「何で落ち着いて寝れない」
「・・・祖母ってったって、会ったの始めてみたいなもんだから、なんてか、他人と住んでるみたいな緊張感があんだよね」
「・・・始めて?」
「そっ、香坂は俺の母親ん家何だけど、小さい頃一回来ただけでそれ以来だから、