「『風神』様が言った、『此処で会ったのもなにかの縁』」
雪美は、視線を外に向けて静かに話出した。
「直哉くんが『風神』様にが会ったのもなにかの『縁』だと思うの、その『縁』大事にしてみたら」
「・・・『縁』ですか」
また二人が黙りこんだ時だった、玄関の戸が大きな音を起てて開いた。
「ただいまぁ!ゆきねぇいる?」
一拍遅れて、晴美が大声を上げた。
「あれ?ねぇ誰か来てんの?」
晴美は大股で、廊下をどたどた音を起てて歩き、階段に向かってまた大声を出した。
「晴美、こっち」
襖を開けて、雪美は手招きをした。
「あっ、そこにいたの」
晴美は雪美を見つけると、此方に来た。
「あれ?なんだ直哉来てたんだ、さっき遊びに誘いに行ったら出掛けてるって聞いたから、何処に行ったのかと思ったよ」
「・・・お邪魔します」
首だけ曲げてみせ、挨拶をした。
「丁度良いや、ねぇ、今外で哲たち待たせてるんだけどね、お昼うちで食べて行って貰っちゃダメかな」
「構わないけど、なにかあったかしら」
そう言うと、雪美は立ち上がり台所に向かい、代わりに晴美が入ってきた。
「やった!じゃ直哉も食べていきなよ」
「いや、悪いけど止めとく」