雪美は、一瞬どうしようか迷ったが、もう我慢は出来なかった。
「・・・あのね」
そして雪美はゆっくりと話出した。
「うちには、お母さんが居ないの」
「ん、そうか、大変じゃな」
「でも、でもね私お葬式で泣かなかったの」
「ん、我慢したんじゃな」
我慢という言葉に、雪美の涙が一筋流れた。
「うん!我慢したの!お父さんが泣いてるから、私まで泣いちゃったらいけないって思ったから」
「うん、良く我慢したの、頑張った」
少年がそう言うと、雪美の手を軽く撫でた。少年の手は少し冷たいく、熱ったてに気持ち良かった。
「なのに!家の事だって妹の事、お店の事だって!私頑張ってやってるのに!本当は友達と遊びたいのに、我慢して我慢して!!それなのに!何で!?何で私ばっかりこんなに我慢しなきゃいけないの!?もう、やだぁぁぁぁ!!」
とうとう堪えきれずに、雪美は涙を流した。母を亡くしてから今まで泣かずに、ずっと我慢してきていたが、一度込み上げて来るともう止まらなかった。
「よしよし、良く我慢した頑張ったの、良い子じゃ良い子じゃ」
泣いている雪美に少年はただただ優しく、頭を撫でた。