「ごめん、帰んなきゃいけないから」
雪美も遊びたい盛りだが、我慢をして家に急いで帰ると、洗濯物を取り込んだり、夕飯の準備やお店の手伝いと大忙しだった。
そんなある日、隣の町に買い物を行った帰り道。
「雪美ちゃん付き合い悪いよね」
「いっつも家のことばっかり」
「うちらといても楽しくないんじゃない」
家の事情を知らないクラスの子たちが無情な事を話ているのを聞いてしまい、雪美は愕然とした。
自分だって学校が終わったらみんなと遊びたいし、休みの日は皆で川に遊びに行ったりしたい。
でも、母親がいなくて自分が我慢しなきゃ。そう思いながら、雪美が頑張ってきた、のに
雪美はその場に居れなくて、がむしゃらに走った。走って走って走りまくって、いつの間にか、知らない所にまで来ていた。
「・・・」
鼻の奥が痛いくなった。空を見上げて、瞼を強く瞑った。
その時、砂を巻き上げた突風が吹いた。
「っ・・・」
砂が当たらないように、顔の前を腕で囲み、風が止むのを待った。
風が止み、顔を上げた時、ふと横を見ると草が分かれ一本の細い道があった。
「・・・」
なんとなく、そこに足を踏み入れると先には小さな祠があった。
「・・・」