「その子と会ったのって、石橋が架っている小川の近くの祠じゃなかった?」
「!はい!そうです」
「やっぱり、その祠何だけど、あれはねこの村の名前の由来になった『風神』様を奉った祠なの」
「フウジンサマ・・・?」
「んん、何て言えば良いのかなぁ」
雪美は、悩みながら言葉を選び話す。
「この村には、昔から神様がいると云われているの。其が『風神様』風を司る神様の事ね、でその変な喋り方をする子供は風神様の仮の姿なのかな?」
「・・・」
一瞬二人の間に沈黙が流れた。
「本当よ!この話は本当なの!!信じられないだろうけど・・・」
「あっ、やぁ、・・・」
んん、とまた沈黙が流れだした。コップの中の氷がカランと涼しげな音を立てた。
「・・・私もその子に会った事があるの」
「えっ?」
「六年前の話なんだけどね」