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空を仰げば、ほんの少しだけ欠けた月が浮かんでいた。


雪も大分積もり、シャリシャリと踏みしめながら、転ばないように進んでいく。


市中を見回り、次は森。


森は目立たないから、そこに息を潜めている奴もいるのだ。


だから、京の中を隅々まで監視せねばならない。


新選組は嫌いだが、仕事を引き受けた以上は必死にやらねば……


と、その時だった。


森の木と木の隙間から、夜なのに、月でも提灯でもない、明るく輝く光が見えるのだ。


……何だあれは。


そんなものに、怪しく思うのは当然であった。


足音を立てないよう、しかし素早くそこまで駆け寄る。


木の影に隠れ、じっと様子を窺うと、次第にその光は小さくなっていった。


光の代わりに現れた人影。


だが、それが目の錯覚だと感じて、一度ぎゅっと目を閉じてまた開く。


そして目を凝らして、さっきまで光があった場所を見つめた。


やはり、人か?