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俺はその命令に逆らったつもりだが、「副長命令だ。背くことは許さない」とあの男に言われ、入隊せざるを得なくなった。
そして俺が新選組に入隊すると同時に、降り出した雪。
……そういえば、芳乃とは雪でも遊んだと思い出させた。
ぼんやりとその雪を、部屋の縁側から見つめる。
諸士調役の主な仕事は、隊士の見張り。
だが、屯所の中で堂々とやるわけにはいかないから、俺は何日もかけて天井裏に通路を作った。
当然、局長や副長からは了解済みである。
そして監察は、市中に出て不逞浪士がいないか監視をし、怪しい者がいた場合はすぐ報告する。
忍の特訓は活かせるが、何だか、新選組に貢献するような仕事で少々気が引けた。
だが、一応これで働く場所も見つけ、銭ももらえるし飯も食えるから、まぁ良しとした。
そういえばあの男の名は、土方歳三というらしい。
そして新選組局長が、近藤勇。
おおらかで穏やか、時には厳しく新選組を取りまとめる……そんな第一印象を、局長からは受けた。
年も明け、文京四年の一月。
年初めの月、睦月と言えば、やはり芳乃が消えた時期だと思わせられる。
そしてその日がやってきたのだ。
そう、俺が新選組に入隊して、まだひと月も経っていない……忘れもしない、満月の、次の日が。