── ─── ──── 《山崎烝 五歳》 その日──……。 「烝。お前は山崎家の跡取りだ」 そう父上に言われ、僕の心臓が跳ね上がった。 ……僕の父上は、忍だ。 父上が誰かと戦っているのは一度も見た事がない。 だけど、たまに、家の庭で“苦無”と言う黒くて鋭い武器を投げて、特訓している。 忍装束を着て、苦無を持って。 それを的に命中させる……。 そんな父上を、素直にかっこいいと思った。