終章
-光への道-
忘れられると思っていた
だが
そんなの、不可能だった
初恋の相手は
気が付いた時には消えていた
“会いたい”と願っても
姿は見えず
過去は消せず
俺の前に広がっていたのは
永遠の闇だった
──俺の心は
もうまるで、涙の雫しかなかった
しかし、愛しいあの人は
あの過去があってもなお
自分のことを好きだと言ってくれた
俺の雫を
掬ってくれた
互いに、苦しみ、もがき
そして手にしたのは
闇の奥にある光だった
闇から出ることが出来た俺達には
これからもたくさんの壁が押し寄せるだろう
しかし
もう光を手にすることが出来たのだから
明るい未来を見続けられるだろう──。
「闇ノ雫」-完-
2014/05/20
あとがき
最後まで読んで下さり、ありがとうございました。
重ねて、本当にすみません!!
更新がかなり遅かったと思います。
まさかの、「闇ノ花」の倍かかりました…。
闇ノ花は2ヶ月で終わったのに、こっちは4ヶ月です(笑)
それから、本編を要約しながら進めたので、展開がかなり速かったような…。
本当に申し訳ないです(´・ω・`)
さらに、主人公が男ということもありまして。なんか内容が薄かったような気もします。
こんな未熟な文章を最後まで読んで下さり……本当に感謝でいっぱいです。
さて、暗い話は置いといて、次のページからは番外編になります。
山崎目線にしようか、とも思ったのですが、やっぱり書きにくいので芳乃にチェンジです(笑)
お時間ありましたら、目を通してくれると嬉しいです。
では、本当にありがとうございました!
2014/05/21 皐和
番外編
-新選組軌跡録-
──新選組軌跡録。
そんな題名が書かれた一冊の本を、私はパタリと閉じた。
戊辰戦争から五年の月日が経つ。
明治時代となった今、風景はまだ江戸の時と同じものの、徐々にこの日本も西洋化してきている。
そして、今。
「山崎っ、山崎山崎~~!」
私は嬉しくて、筆を置くなり飛び跳ねた。
何故かというと、新選組の記録を書き連ねた本を、ようやく書き終えたからだ。
「どうした」
「完成したよ!ほら!」
はいっ、とその本を手渡すと、山崎も嬉しそうに目を細めた。
新選組の活躍を知っている人は、特にこの時代はごく僅かだろう。
だけど、新選組は命を張って戦ったのだ。
たった五、六年。
されどその年月は、新選組にとっては、濃く深い物だった。
そんな軌跡を、残したくて。
約二年かけて書いたこの本は、ようやく完結した。
新選組だった私達に出来ることは──自分達がやったことを、先の世に伝えることなのだ。
「じゃあ、あとで読ませてもらう」
「うんっ!……え!?」
待った待った。
書き終えたはいいけど……
ということは、誰かが必ず、これを読むということ!?
「当たり前だろ」
「えっ、ちょっ、待って!下手くそだから!」
「二年もかけたんだろ?何度も推敲したんだろ?」
「……そりゃ、そうだけど…」
あはは……と、笑ってみせる。
私って、現代にいたときはどちらかと言うと理数系の方が好きだったし。
文章なんか、書くの大っ嫌いだったし。
……最後までよく書けたよ。
文章力以前に、行書を書けてるかどうか、の方が不安だ。
何で江戸時代の人は、こんなミミズみたいな字を書けるんだろう?
と言っても、私も一応江戸の人だけど。
ずっとあっちにいたから、かなり滅茶苦茶……なはず。
「……ねぇ山崎」
「ん?」
「いや、山崎先生」
「なんだ?」
畳の上に正座した私は、勢いよく頭を下げて、ぶつかる寸前で止めた。
「点検、お願いします……!」
頼れる人、山崎しかいないし!
ずっと畳と睨めっこしていると、上から微かな笑いが降ってきた。
「御意」
「あ、ありがとうございますっ!」
「ただし条件がある」
「……は!?」
その言葉に、勢いよく頭をあげた。
にやり、とそこにあったのは怪しい笑み。